クリニックコラム

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片目を隠してみてみましょう

神奈川歯科大学附属横浜クリニック 眼科
科長 市邉 義章

皆さん、視力低下を感じた時、どんなことを考えますか? メガネが合わなくなった? 乱視が増えた? 年のせい?

われわれ眼科医が言う「視力」とは「矯正視力」、つまりレンズで矯正した視力のことをさします。この矯正視力が良好で、みづらさもレンズで改善するようであれば、あまり問題はありません。矯正視力が不良な時に、何かの病気の存在が疑われることになります。

ただ、この「矯正視力良好」にも落とし穴があります。眼底(目の奥)の網膜(見るため神経の膜)の中心部を「黄斑」といいます。ここに光が集中し視力が出るわけですが、この「黄斑」に異常がなく、他の場所の網膜に異常(出血や網膜剥離など)がある場合、「矯正視力」は良好なので、あまり自覚症状がでません。

また眼は二つあります。片方のみに病気がある場合、もう片方が見えるため、やはり自覚症状が乏しいことがあります。片方の目を隠して初めてもう片方が全く見えない! と気づく例もあります。まず、皆さんも片方ずつ目を隠してみてみましょう。ちゃんと見えていますか?

私は患者さんに見え方チエックしていただく場合、アムスラーチャート(図1)というのをよく用いいます。これは縦横に線が入っているものなのですが、その線がかすんで見えたり、歪んで見えたりで異常に気が付くことがあります。外の景色やテレビ画面などは色や明るさも変化しますので、見え方のチエックにはあまりふさわしくありません。特にこのチャートで「歪む」という症状は網膜のある場所の異常を疑う大事な症状です。その「ある場所」とは先ほどお話した「黄斑」です。ここに病気が生じるとまず「歪み」が生じます。病気が進行すると、線がかすんだり、かけたりし、さらに進行すると暗く見えたり、視力低下をきたしてきます。この「歪み」という症状は黄斑の病気の特異的(その病気に特有)な症状で白内障や緑内障、視神経の病気では起きません。

また片方だけが見づらいのか、右目も左目も両方がみづらいのかも重要です。この場合もやはり片方ずつ隠して確認してみてください。もし両方ともみづらいのであれば頭蓋内(頭)の病気や高血圧症、糖尿病など全身の病気かもしれません。

このように「視力低下」を診察するうえで、患者さんのどのように見づらいのか? の自覚症状は非常に重要です。神奈川歯科大学附属横浜クリニック眼科ではまず「どのように見づらいのか」をよく聞き、そこから目の異常を探っていきます。

また当クリニックは歯科以外に、内科、耳鼻科があります。高血圧症や糖尿病は内科医との連携が重要です。また目の周りには副鼻腔という骨の空洞があり、蓄膿症などで視力が下がる病気もあります。これらが疑われる場合、内科、耳鼻科とも連携して診察、診断しています。

当クリニックは明るく広い横浜駅西口直通の地下道を直進し、右手の最終出口を上がれば雨にもほとんど濡れることなく、また、横断歩道もないので安全に来院可能です。何かお困りのことがございましたら、ご来院ください。しっかり診察、診断し、最適な治療をご提供させていただきます。

図1
アムスラーチャート
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